国際理解講座「フィリピンママと漫画家パパ 国際結婚よもやま話」

2013.07.28

国際理解講座コミックエッセイ「フィリピン妻4コマ日記」の著者、漫画家・前田ムサシさんを講師に、国際結婚のこと、2カ国に渡る子育てのこと、フィリピンのことなどを話していただいた。

まずは、奥様との出会いから。結婚に至るまではごく普通の男女。会って話しているうちにだんだん心が寄り添っていった、という。また、前田さんが持っていたフィリピンのイメージは、貧しい国。だが奥様と出会って、奥様の家族と付き合っていく中で、お金がある=幸せ、とは限らないのでは、と考えるようになったという。フィリピンは、庶民の暮らしは貧しいけれど、心は幸せ、明るく楽しく過ごせる国だと気づいた。画像 003


国際結婚や日本の滞在ビザを取るまでの手続きは、今なら必要な書類が何か、どのくらいの日数がかかるか、などは調べようと思えば、いくらでも手だてがある。 しかし当時はインターネットも普及しておらず、大使館の電話はなかなかつながらず、情報を得るのが大変だったそう。

また、フィリピンでの結婚の手続きを早くしてもらうため、お役所で公務員に”アルバイト”をしてもらったり、”お土産”をねだられたり、と公務員の中にまだまだ黒い部分が残っているというのが面白かった。

また、奥様のルビーナさんにも日本での生活のことを聞くと、「夫のお母さんにも料理や家事の事、いろいろと教えてもらいました。そんな風に言わなくても…と思うところもありましたが、自分は日本の事は知らないし、憶えなくてはならないと思い、素直に受け入れました。」と話してくれた。ルビーナさんは、日本語を5年以上学んでおり、我々と普通に日本語で話している。しかし、「まだまだ知らない事がたくさん。これからも日本語は学び続けます」と強く日本語への感心を示していた。

子育ても、フィリピンでは、朝外に出たらあとは近所の人が見てくれる、という。食事も近所の家などで食べさせてくれるとか。そんな話を聞くと「昭和の日本」が思い浮かぶ。

フィリピンでは、雨が降ると上半身裸で雨の中に飛び出していって遊んだ記憶からか、子どもたちは日本で雨が降ると外に出たくてたまらなくなるとか。

画像 006また、フィリピンにいた1年強の間は、タガログ語生活だったが、日本に戻ってからはあっという間に日本語になったそう。フィリピンの親戚と話すのにタガログ語は必要では?と聞いたが、お祖母さん、オジさんなどの名称と、あとは英語さえ話せれば、話は出来るので問題ないということだった。言葉は子どもの選択に任せるというところらしいが、英語はちゃんと学ばせるつもりだそう。

フィリピンは老後、のんびりと暮らしてみたい国では有るけれど、今に至っては親戚やニノ・ニナ(仲人とか名付け親、契兄弟姉妹親子のような関係)の関係と付き合いが密に有り(そのおかげで、いろいろな役所手続きもスムーズにいくのだそうだ)、のんびりいきそうもない。時々里帰り、というのがいいかもしれない。

フィリピントラベルガイドそして、第2の人生を海外で、というブームもある中、フィリピンも人気の場所だが、どう思うか聞いたところ、「違う環境を楽しめる人でないと、またよほどその国と土地に愛着や由縁が無い限り、難しいかもしれない」という懸念を示していた。

最後にフィリピンの空港で気をつけなくてはいけないこと、フィリピンに日本料理店があるかなど、参加者の質疑応答でしめくくった。

今回、フィリピン政府観光局から観光ガイドブックと地図が届いたので、参加者に配った。「貧しい国」、「空港でのチップ」、「ストリートチルドレン」…と、フィリピンの怖そうなところを話していた前田夫妻も「フィリピンに行きたくなるね!」と美しいビーチや名勝などの観光地の写真を見て「観光地フィリピン」に心揺れた様子だった。

さて、前田ムサシさんは現在、雑誌の掲載マンガと新刊の描き下しに追われているそう。10月に発売予定というので、楽しみにしたい。(文:文化交流委員会・塩川)

*フィリピン政府観光局からいただいた観光ガイドブックと地図は事務局カウンターにてお渡しできます(数に限りがございますのでお早めに)。